エキシマレーザとは
エキシマレーザ冠動脈形成術(ELCA)とは、冠動脈に挿入されたカテーテルの先端から照射されるエキシマレーザによって、閉塞した血管を開通させるという治療方法です 。
エキシマレーザとはキセノンを媒質として発生するレーザー光で、この光照射を行うと分子結合が直接切断され、大きな分子が小さな分子へと変換されるという性質があります。つまり、エキシマレーザを動脈硬化の起こった冠動脈に照射することによって、生体組織に熱損傷を起こすことなく病変組織を蒸散させることができるという原理になっています。
このエキシマレーザは熱による組織除去に頼った波長の長いレーザーとは異なりクールレーザーと呼ばれ、安全性の高いものとされています。レーザー冠動脈形成術は、欧米ではすでに数万例の症例に適用され、通常の風船によるバルーン治療が困難な複雑病変に対する有効性が報告されています。日本では2001年に高度先進医療として認可され、一部の施設でのみ使用可能となっていました。しかし、2012年5月からようやく保険償還されることになり、他施設に先駆けて心臓病センター榊原病院でも使用を開始することになりました。
対象としては通常の冠動脈治療が困難な慢性完全閉塞、分岐部病変、急性心筋梗塞、ステント内再狭窄であり、従来の風船などを使用する治療に比べて、安全性が高いといわれています。また、従来ローターブレータ(血管内高速回転アテレクトミー)が石灰化の強い病変には有効とされてきましたが、このエキシマレーザも同様に石灰化病変に有効性が高いとされています。また、ローターブレータでは治療が困難な、急性心筋梗塞などの血栓性病変、あるいはステント再閉塞といった病変にも組織を蒸散させるエキシマレーザは効果があります。 このエキシマレーザを活用することで従来よりも治療の選択肢がより拡がり、さらに有効性の高い医療を安全に提供できると考えています。
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