理事長あいさつ理事長 榊原からのメッセージです

「一致団結し、伝統の上に
さらに質の高いサービスをご提供」

病客さまに安心から信頼を生み出し、
職員に誇りを持って仕事に励んでもらうために。

社会医療法人社団十全会 理事長 榊原 敬

社会医療法人社団十全会 理事長・院長榊原 敬

私ども 社会医療法人社団十全会 心臓病センター榊原病院を代表してご挨拶申し上げます。

心臓病センター榊原病院は心臓病大血管の専門病院で、1932年4月榊原亨が開設しました。亨はこれより先1929年当時岡山医科大学(現岡山大学医学部)助教授として、臨床講義(学生を前に実際に手術して講義する)で、世界で初めて、局所麻酔で胼胝性心膜炎(心臓を被う心膜が硬くなり、心臓の動きが妨げられる病気)の手術に成功を収めました。さらに1936年12月16日 あい口で刺された心臓の傷口にガーゼを巻きつけて止血する纏絡止血法を行い、心臓外傷病客さまの救命に世界で初めて成功しました。このことから心臓外科に強く関心を抱くようになりました。この手術法について日本外科学会で当時大阪帝国大学小沢凱夫教授と大論争になりました。この論争はわが国心臓外科の扉を開いたといわれています。そして、1941年世界で初めて生きているヒトの心臓弁膜を観察する心臓鏡を発明し、これを用いて心臓僧帽弁の手術を行いました。

心臓手術の研究は第2次世界大戦中一時中断しましたが、1951年5月、亨は弟 仟(東京女子医科大学教授)と協力してボタロ管開存症(先天性心臓奇型の一種)の手術を行い成功しました。この手術はわが国心臓手術の戦後第1例で、亨と仟はわが国心臓外科の開拓者の栄誉を得ることになりました。(その後亨は日本医師会副会長、衆議院議員、参議院議員となり医療制度改革に励みました。)この病院で亨は手術をはじめ多くの心臓病の診療を仟の手伝いのもと行いました。すなわち、わが国の心臓病学の黎明期の歴史はそのまま当院の歴史と重なります。

当院開設当初から 「本院は営利を目的とする世俗の病院にあらず。実際に迂遠なる学説研究を主眼とする病院にもあらず」といい、私どもがもっている医療技術を病気に苦しむ方々を救うために役立てたいとの綱領を掲げ、開院当初から「病客さま」という言葉を用いています。これまで開院以来、新しい医療の進歩発展に努力し、心のこもった安全で質の高いサービスの提供を心掛けてきました。

2012年9月18日心臓病センター榊原病院といしま病院を統合移転した新しい病院を開院しました。手術室7室(ステント手術に対応したハイブリッド手術室2室を含む)、心臓カテーテル6室をはじめ、ICUも規模を拡大し、CT(320列・64列マルチスライスCT:2019年7月64列から80列マルチスライスCTへ更新)、MRI、アイソトープ検査など心臓大血管疾患を中心に関連した領域を含め直ちに対応できる体制となりました。また、地域医療を担う医療機関との連携強化を目指し、心臓血管外科の緊急手術が同時に2列できる体制を堅持し、ドクターカー2台でいざというときの他の医療機関の要請にも対応しています。また、25m×3コースの室内プールと室内運動スペース(フィットネス)を設けています。疾病予防のための運動療法から、機能回復を目指した心臓リハビリテーション、その後の体力維持と再発予防のためのメディカルフィットネスを行っています。治療すればおしまいではなく、在宅復帰し元の生活が続けられることを目指しています。

高齢化社会では、病気の数がいくつもあるのが当たり前の時代となりました。リスクを理解し安全で、しかも低侵襲の(体の負担が少ない)医療が拡大しています。違った角度からダブルチェックを行うことが医療安全に役立ち、多職種によるチーム医療が推奨されています。情報共有とともに、小さな問題でも振り返り改善を考えることでより良い医療に繋がると考えています。高度な医療でもわかりやすい言葉で不安を払拭し、病客や家族の信頼を得ることが大切です。たとえコロナ禍であっても、しっかりと感染防止策を講じ、中断することなくしっかりと治療に取り組める環境が求められています。誇りを持って仕事に励む充実感が有能な人材を育成し、感謝の声掛けが励みになります。「備えあれば憂いなし」の言葉の通り、将来発生が見込まれる南海トラフを震源とする大規模災害や温暖化に伴う自然災害に対し、安全対策を進めて参ります。さまざまな領域に及ぶ積み重ねが病客さまに安心を与え、気持ちに寄り添い心の癒しとなることを期待しています。

当院は各種病院ランキングで心臓血管外科、循環器内科とも常に上位にランクされており、これまで開院以来の心臓血管手術数は19,000例余(ペースメーカなどを除く現行基準)に及びます。この数字は大学病院に引けを取らない実績であり、民間病院として稀有なことです。しっかりと動脈硬化性疾患(心臓病・大動脈疾患等)の断らない救急拠点として、「病客さまに寄り添う」病院であり、しっかりと21世紀に相応しい医療サービスの提供を行いたいと考えています。

この上とも御理解御支援を賜りますようお願い申し上げまして、ご挨拶といたします。

理事長 榊原 敬 プロフィール

略歴

  • 1980年 東京学芸大学附属高校卒業
  • 1986年 順天堂大学医学部卒業
  • 1991年 順天堂大学大学院医学研究科卒業

順天堂大学第1外科助手、ニューヨーク州立Roswell Park癌研究所留学、順天堂大学第1外科外来医長、岡山大学医学部第1外科助手を経て

  • 2000年 特定医療法人社団十全会榊原東病院副院長
  • 2001年 特定医療法人社団十全会副理事長
  • 2007年 医療法人三友会理事長併任(2008年に統合)
  • 2012年 社会医療法人社団十全会理事長(第4代)就任
  • 2018年 社会医療法人社団十全会院長(第7代)併任

資格

  • 前日本外科学会指導医
  • 日本消化器外科学会指導医・認定登録医・認定医
  • 日本臨床外科学会幹事
  • 日本消化器内視鏡学会指導医
  • 日本消化器病学会指導医
  • 消化器がん外科治療認定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 元東京消防庁救急隊指導医

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